「自分が受けた恩恵に感謝し、それを次の世代へと送る(Pay it forward)」という教訓です。私たちは先人たちの努力の上に生きており、私たちもまた、見返りを求めずに未来のために種をまくことの尊さを説いています。
むかしむかし、あるところに、髭(ひげ)の真っ白な おじいさんがいました。
おじいさんは、道の端でせっせと地面に穴を掘り、小さな苗木(なえぎ)を植えていました。
そこへ、ひとりの旅人が通りかかりました。
旅人は不思議に思って、おじいさんに尋ねました。
「もしもし、おじいさん。
そこで なにを植えているのですか?」
おじいさんは、額の汗をぬぐいながら答えました。
「これは、イナゴマメの木だよ」
「ほう、イナゴマメですか。
その木に実がなるまで、どれくらいかかるのですか?」
「そうだねぇ。
だいたい、70年は かかるだろうね」
それを聞いて、旅人は驚いて大笑いしました。
「はっはっは! 70年だって!
おじいさん、あなたはもう十分 お年寄りだ。
実がなるころには、もう生きていないでしょうに!」
旅人はまだ笑っています。
「自分が食べられもしない木を植えて、いったいなんの意味があるのですか?
苦労して植えても、損をするだけじゃないですか」
おじいさんは、手を止めてニコニコしながらこう言いました。
「たしかに、わしはこの実を食べることはできないだろうね。
でもね、旅人さん。
わしが子供のころ、美味しい果物を食べられたのは なぜだと思う?」
旅人は首をかしげました。
「それはね、わしが生まれるずっと前に、誰かが木を植えておいてくれたからだよ。
その人たちは、会ったこともない未来のわしのために、種をまいてくれたんだ」
おじいさんは、愛おしそうに苗木に土をかけました。
「だからわしも、これから生まれてくる子供たちのために、こうして木を植えているんだよ。
自分が食べるためではなく、未来の誰かへの贈りものさ」
それを聞いた旅人は、自分の言葉を恥ずかしく思いました。
「私は自分のことばかり考えていました……。
あなたの植えた木は、きっとたくさんの人を笑顔にするでしょうね」
旅人は深くおじいさんにお辞儀をして、また旅を続けました。
さて、ここでみんなに質問だよ。もし君がこのおじいさんだったら、自分が食べられない木を一生懸命植えることができるかな? また、君のまわりにある「誰かが君のために準備してくれていたもの」には、どんなものがあるか探してみよう。



コメント