チキンを分ける「不思議な数え方」 〜頭を柔らかくする分けっこパズル〜

チキンを分ける「不思議な数え方」 〜頭を柔らかくする分けっこパズル〜 知恵と機転
【今日のお話のポイント】
・「公平」には、いろいろな考え方があることを知る
・ユーモアと知恵を使えば、気まずい空気も笑いに変えられる
・算数や論理(ロジック)をパズルのように楽しむ心を持つ

むかしむかし、エルサレムに住む一人のとても頭の回転が速い男が、遠い田舎の街へ旅に出ました。

日が暮れて、男はある親切な農家の家に一晩泊めてもらうことになりました。その家には、お父さんとお母さん、そして二人の息子と二人の娘がいて、みんなで六人の家族でした。

「旅の人、よく来なすった。今夜はごちそうだよ!」

お父さんは、こんがりと黄金色に焼けた、一羽の大きな丸焼きチキンをテーブルに運びました。香ばしい匂いが部屋いっぱいに広がり、みんなのお腹がグーッと鳴りました。

ところが、ここで困ったことが起きました。
テーブルを囲んでいるのは、家族六人と、旅人の男を一人の、合わせて「七人」です。でも、チキンは「一羽」しかありません。

お父さんは、いたずらっぽく笑って旅人に言いました。
「お客さん、あんたは知恵のあるエルサレムの人だと聞く。ひとつ、この一羽のチキンを、私たち七人で『公平に』分けてみてくれないか。もしみんなが納得するように分けられたら、あんたの取り分もあげようじゃないか」

家族みんなが注目する中、旅人の男は「お安い御用です」とナイフを手に取りました。

男はまず、チキンの**「頭」**を切り落とし、お父さんの前に置きました。
「お父さんはこの家の『頭(かしら)』ですから、頭をどうぞ」

次に、チキンの**「お腹(内臓)」**を取り出し、お母さんの前に置きました。
「お母さんはこの家を支える『心臓』ですから、お腹の部分をどうぞ」

それから、二本の**「手羽(羽)」**を切り、二人の息子に一つずつ配りました。
「息子さんたちは、将来この家から力強く『羽ばたく』ように、羽をどうぞ」

そして、二本の**「足(もも肉)」**を切り、二人の娘に一つずつ配りました。
「娘さんたちは、素敵な旦那さんのところへ『歩いていく』ように、足をどうぞ」

最後に、男は残った**「一番大きくて肉がたくさんついた胴体」**を自分の皿に乗せて、ケロリと言いました。
「そして私は、はるばる海を越えてやってきた『船』のような旅人です。だから、船の形に似たこの胴体は、私がいただくことにしましょう。……さあ、これでみんなにふさわしい部分が行き渡りました。公平でしょう?」

家族はポカンとしましたが、男の言い分があまりに見事で面白かったので、「ハハハ! なるほど!」と大笑いして食事を楽しみました。

ところが、お父さんは少しだけ悔しくなりました。「次はもっと難しい問題を出してやろう」と考えたのです。

翌朝、お父さんは、なんと**「五羽」**のチキンを焼いてきました。
「お客さん、昨日はお見事だった。だが、今度はこれだ。この五羽のチキンを、私たち家族六人と、あんた一人の、合わせて『七人』で、端数(はすう)が出ないようにピタリと分けてみてくれ。一人一羽ずつじゃ足りないし、分けるのは難しいだろう?」

お父さんは「今度こそ困るだろう」とニヤニヤして見ていました。
しかし、旅人の男は、チキンをチラリと見ただけで、またもやニコニコして答えました。

「お父さん、これは昨日よりもずっと簡単ですよ。算数を使えばいいんですから。いいですか、みなさん。これから私が**『三のグループ』**を作っていきますよ」

男はまず、お父さんとお母さんの前に、チキンを一羽置きました。
「お父さん、お母さん、そしてチキン一羽。合わせて『三』ですね」

次に、二人の息子の前に、チキンを一羽置きました。
「息子さん二人と、チキン一羽。これも合わせて『三』です」

次に、二人の娘の前に、チキンを一羽置きました。
「娘さん二人と、チキン一羽。これも合わせて『三』ですね」

そして最後に、男は自分の前に、残った二羽のチキンを引き寄せました。
「そして、私一人と、チキン二羽。これも合わせて……はい、ぴったり『三』になりました! さあ、これで全員が『三』という同じ数になりました。これ以上ないほど公平でしょう?」

お父さんは、これを聞いてひっくり返りそうになりました。
「な、なんてこった! 人間の数とチキンの数を足して無理やり同じにするなんて! でも……確かに計算は合っている!」

お父さんは、男のあまりに突拍子もない、けれど完璧な理屈に、またしても大笑いしてしまいました。
「参った! エルサレムの知恵は、お腹だけでなく心まで満たしてくれるな。あんたの勝ちだ、さあ、一緒に食べよう!」

男は、自分の皿にある二羽のチキンのうち、一羽を「おまけです」と言ってみんなに分け与え、全員でお腹いっぱいチキンを食べました。

このお話は、私たちに「頭の柔らかさ」の大切さを教えてくれます。
決まった分け方や、当たり前の数え方にとらわれる必要はありません。ユーモアを忘れず、自由な発想で考えれば、どんな難しい「分けっこ」も、みんなが笑顔になれる楽しいパズルに変わるのです。

子どもへの問いかけ(いっしょに考えてみよう)
1) 最初の「一羽」の分け方で、旅人の男が「自分に一番肉の多いところ」を持っていった理由、あなたはどう思った?(面白い? ずるい?)
2) 二回目の「五羽」の分け方、「人間+チキン=3」にするというアイデアを思いつくかな?
3) もし、あなたが「三羽のドーナツ」を「五人の友達」で分けるとしたら、どんな面白い理由をつけて分ける?

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