正直であることは、どんなに高価な宝石よりも自分自身を輝かせます。他人のものを自分のものにせず、正義を貫くことで、周りの人々からの信頼と尊敬という、最も価値のある宝物を得ることができるのです。
昔々、イスラエルの地に、シモン・ベン・シェタハという名の、とても賢くて心の清らかなラビが住んでいました。
彼は、人々に神様の教えを説きながら、自分自身もつつましく、しかし誠実な毎日を送っていました。
ある日のこと、シモンは仕事のために、荷物を運んでくれるロバを一頭買うことに決めました。
彼は市場へ出かけ、一人のアラブ人の商人から、とても丈夫そうで穏やかな目をしたロバを買い取りました。
「このロバが、あなたの助けになることを願っていますよ」と、商人は言いました。
シモンは丁寧にお礼を言い、そのロバを連れて、待っていた弟子たちのところへ帰っていきました。
弟子たちは、新しいロバがやってきたことを喜び、さっそくロバの体をきれいに洗ってやることにしました。
ロバの首の周りにある古い毛を整えていた時、一人の弟子が何かに指を触れました。
「おや、これは何だろう? 首の毛の中に、何かが隠されているぞ」
弟子がその紐をほどいてみると、そこには見たこともないほど大きく、まばゆいばかりに輝くダイヤモンドの首飾りがついていたのです。
ダイヤモンドは太陽の光を反射して、七色の光を放ち、周囲を明るく照らしました。
弟子たちは驚きのあまり、しばらく言葉を失ってしまいました。
「先生! 先生、見てください! 大変な宝物ですよ!」
「神様が先生の貧しさを憐れんで、このような素晴らしい贈り物をくださったに違いありません!」
弟子たちは口々に叫び、自分たちのことのように大喜びしました。
これで先生も、これからはお金に困ることなく、心安らかに教えを説くことができると思ったからです。
しかし、シモンは輝くダイヤモンドを見つめながら、静かに首を振りました。
「いいえ、弟子たちよ。私はロバを買ったのであって、このダイヤモンドを買ったわけではないのです」
弟子たちは不思議そうな顔をして、先生に問いかけました。
「でも先生、これはあなたが買ったロバについていたものです。商人はすべてを含めて売ったのですから、今は先生のものです。法律でも、それは許されるはずですよ」
シモンは弟子たちの顔を一人ずつ見つめ、穏やかですが、とても力強い声で答えました。
「確かに、法律上は私のものになるかもしれません。しかし、私は『正しい人』でありたいと願っています」
「このダイヤモンドを返した時、あの商人は、ユダヤの教えを信じる者がどれほど正直であるかを知るでしょう。それは、どんな宝石よりも価値のあることだと思いませんか?」
シモンはすぐに市場へ戻り、先ほどのアラブ人の商人を探し出しました。
商人は、シモンがなぜ戻ってきたのか分からず、不思議そうな顔をしていました。
シモンは黙って、手の中に隠していたダイヤモンドを差し出しました。
「これをあなたにお返しします。私が買ったロバの首についていたものですが、これは私の持ち物ではありません」
商人は、自分の目を疑いました。
それは、彼がいつの間にか紛失してしまい、もう二度と見つからないと諦めていた家宝のダイヤモンドだったからです。
商人は震える手でそれを受け取り、深々と頭を下げました。
「ああ、なんと誠実な方だ。あなたは私に、あなたの神様の素晴らしさを教えてくれました」
「あなたが信じる神様は、なんと素晴らしいお方なのでしょう。正直なあなたのような人を育てたのですから」
商人の言葉を聞いた時、シモンの心には、ダイヤモンドを持っている時よりもずっと温かく、大きな喜びが溢れていました。
シモンは何も持たずに帰りましたが、その背中は誰よりも誇り高く、光り輝いて見えました。
弟子たちは、本当の正義とは何か、そして親切とは何かを、先生の行動から深く学んだのでした。
もしあなたがシモンの弟子だったら、ダイヤモンドを見つけた時に先生になんて言いますか?また、ダイヤモンドを返したシモンの気持ちはどうだったと思いますか?



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