「公平な」分けっこコンテスト 〜キツネが教える、命を守る算数〜

「公平な」分けっこコンテスト 〜キツネが教える、命を守る算数〜 知恵と機転
【今日のお話のポイント】
・他人の失敗を見て、そこから素早く学ぶ「観察力」の大切さ
・「自分の正義」を押し通すより、相手や状況を冷静に見極める知恵
・ピンチをチャンスに変える、最高に賢い「言い換え」の技術

むかしむかし、ある深い森に、とてもお腹を空かせた三匹の動物がいました。百獣の王ライオン、力自慢のオオカミ、そして知恵者のキツネです。

「おい、お前たち。今日は三匹で協力して狩りに行こう。捕まえた獲物は、あとで公平に分けることにしようじゃないか」

ライオンがそう提案すると、オオカミとキツネは「異議なし!」と答えました。三匹が力を合わせた結果、その日の狩りは大成功。立派な**「大きな牛」と、ふっくらした「羊」、そして小さな「ウサギ」**の三匹を捕まえることができました。

さて、いよいよお楽しみの「分けっこ」の時間です。三匹は獲物を前に、円くなって座りました。ライオンはギロリとオオカミを睨んで言いました。

「さて、オオカミよ。お前は正直な男だと聞く。この三匹の獲物を、我々三匹に『公平に』分けてみてくれ」

オオカミは胸を張って答えました。
「お任せください、王様! 私は公平さがモットーです。計算は簡単ですよ。
まず、一番大きくて立派な『牛』は、一番大きくて強いライオン王様のものです。
次に、中くらいの『羊』は、中くらいの大きさの私のものです。
そして、一番小さな『ウサギ』は、一番小さなキツネのものです。
……どうですか! これ以上ないほど、サイズがぴったりで公平でしょう?」

オオカミは「いい仕事をしたぞ」と得意げな顔をしました。ところが次の瞬間、ライオンは雷のような声を上げて怒り狂いました。

「なんだとぉぉ! お前は自分と私を『同じ立場の仲間』だとでも思っているのか! お前の言う『公平』とは、私への敬意がこれっぽっちも足りないではないか!」

ドガシャーン!
ライオンは大きな前足でオオカミをぶん殴りました。オオカミは「ひえぇぇ〜!」と叫びながら、森の向こう側の茂みまで吹き飛んでいきました。

さて、静まり返った広場で、ライオンは次にキツネをじろりと見つめました。
「……さて、キツネよ。次はお前の番だ。この獲物を、私たちが納得するように『公平に』分けてみろ」

キツネは、茂みの方から聞こえるオオカミの「ううう……」といううめき声を聞きながら、一瞬で頭をフル回転させました。
(なるほど。このライオンにとっての『公平』とは、数や大きさの話じゃないんだな。……よし、わかったぞ!)

キツネは、とっても丁寧にお辞儀をすると、流れるような手つきで獲物を並べ替えました。

「恐れながら、偉大なる王様。分け方など、決まっております。
まず、この大きな『牛』は、王様の豪華な**『朝ごはん』でございます。
次に、このふっくらした『羊』は、王様の贅沢な
『お昼ごはん』でございます。
そして、この小さな『ウサギ』は、王様が夜にお休みになる前の、ちょっとした
『お夜食』**でございます。
……さあ、王様。これで、すべての獲物がお前様という一人の偉大な存在のために、完璧に整いました。いかがでしょうか?」

これを聞いたライオンは、さっきまでの怒りが嘘のように、ニヤ〜ッと口角を上げて喜びました。
「おお……! 素晴らしい! これぞ完璧な分け方だ! キツネよ、お前はなんて賢いんだ。一体どこで、そんなに見事な『公平な分け方』を学んだのだ?」

キツネは、チラリとオオカミが吹き飛んでいった茂みの方に目をやり、こう答えました。

「はい、王様。私は、先ほど空を飛んでいった『オオカミさんのたんこぶ』を見て、この知恵を学びました

ライオンは「ハッハッハ! それはいい先生を持ったな!」と大笑いし、上機嫌で獲物を全部持って自分の洞窟へ帰っていきました。

キツネは、自分の取り分がなくなったことなど、これっぽっちも気にしていませんでした。
「命があって、しかもあんなに怖いライオンを上機嫌にさせたんだ。これ以上の成功はないさ。さて、お腹は空いているけれど、どっか別の場所でネズミでも探すとしよう」

キツネは鼻歌まじりに、スキップしながら森の奥へと消えていきました。

このお話は、私たちに「本当の観察力」について教えてくれます。
賢い人というのは、自分一人で勉強するだけでなく、誰かが失敗した姿を見て、「なぜ失敗したのかな?」「次はどうすればいいかな?」と瞬時に考えることができる人のことです。

オオカミの失敗は、キツネにとっては「最高の教科書」になりました。
「自分は正しい」と信じて疑わないことも大切ですが、時には一歩引いて周りをよく観察し、相手が何を求めているのか、どう言えばみんなが丸く収まるのかを考えること。それこそが、ピンチを切り抜けるための最強の武器になるのですよ。

子どもへの問いかけ(いっしょに考えてみよう)
1) オオカミさんがライオンに怒られたのは、どうしてだったかな?
2) キツネさんが「牛も羊もウサギも、全部ライオンのもの」と言ったのは、ズルいと思う? それとも賢いと思う?
3) 誰かが失敗したのを見たとき、あなたならどんなことを「学ぼう」とするかな?

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